―初めてのタイ訪問―

 コロナ禍がようやく落ち着いてきた2022年5月、4年ぶりに羽田空港国際線ターミナルから海外へと旅立った。

 行き先は東南アジアの雄「タイ」のバンコク。

月末に開催される『タイフェックス2022』の日本パビリオンに初めて弊社が出展することになったからである。

 展示会のみならず私自身タイには初めての訪問であり、まさに『未知との遭遇』の旅路であった。

―気候、経済、文化に触れて―

 タイへの旅は、3日間の一人旅から始まった。一年中真夏の気候で暑い日は40度と聞いてはいたものの、実際の体感温度は初めての感覚で夕方に降るスコールを見るとやはり自分が熱帯にいることを思い知らされた。

 日本では失われた20年と言われた近年の東南アジア地域、とりわけその中でも先進的に発展を遂げて来ているタイの経済成長は目を見張るものがある。その為一方で、車の渋滞は都市部の幹線道路ではほぼ一日中途切れることはない。その間を縫う様にして走るバイクの数も半端ではない。

 タイには、日本の天皇と同様に、国王がいらっしゃって国民の崇拝される王族の権威は多大なるものがある。国王や王妃の祝い事の日は祝日となり国民皆がお祝いする。

 また、仏教を中心とした寺院が沢山あって、観光客はもちろん多くの地元の方々が日常的に参拝し、その為のお花やお供えを売る屋台もあちこちに沢山見かけた。

 実に信仰熱心で、崇拝文化がしっかり根付いていて、『微笑みの国』と言われるタイの国民性にそれが現れている。

―熱烈な日本贔屓―

 バンコクの料理は、タイ料理がもちろん中心的であるが中華系の移民ももともと多く中華料理、国境を接するラオス、カンボジア、近隣のベトナムといった東南アジア料理、更にはアラブ系の方々も街を作っていて、もちろんオーストラリアも比較的近くヨーロッパ系の色合いも合わせ持つ。実に多彩な世界各地の要素が入り混じっている街である。

 中でも私が一番驚いたのが、日本料理店の数の多さとその定着浸透度合である。

 大きなモールに行けば、どこに行っても当たり前のように、寿司、とんかつ、焼肉、牛丼、ラーメンといった日本料理店が10軒位はあり、全体の2割〜3割程度を占めている。

異国にいることを忘れてしまうくらい日本の食が生活に溶け込んだ光景だったのだ。

―これからのタイとのお付き合いについて―

 タイは世界の中でも親日国家で、料理のみならず日本文化にも関心、敬意を持って頂いている方々が多い。

 私が初めて訪れたタイは、想像していた以上に日常生活の中に日本と接する機会は多いと感じた。しかしながら、ウニ・甘エビ・いくらの原材料はロシア産であったり、魚はほとんどが養殖ものしかなかったり、日本料理店で食べられる食材は国内の和食料理店と比較すると、かなり限定的でなかなか旬の日本食材に出会うことは出来なかった。ここに海外マーケットにも『日本の本物の味』をお届けする余地が十分あると確信した。

 日本のみならずタイの為にも、共存共栄を目指す仕組み創りの旅がいよいよ始まることとなったのである。