昨今、世界的に日本のウニは人気を博し、中国、香港、タイ、シンガポールといったアジア各国に毎日大量のウニが高値で輸出されている。日本、とりわけ北海道を訪れたときに、ウニの味の虜になった方々が現地で火付け役となり、海外でも今や一大ブームともなっている。
しかしながら残念なことに、ロシア原料のウニを北海道のウニメーカーが箱詰めしたものが圧倒的に主流になっているのが実情である。
日本では、北海道は言うに及ばず青森、岩手宮城沿岸、更に山口、大分、熊本天草、佐賀唐津、長崎壱岐等の沿岸で美味しいウニが漁獲される。
ウニには大きく分けて、針のように棘が長い紫ウニ(通称:白)と、棘が短いバフンウニ(通称:赤)に大別される。
地域によって漁の解禁時期は異なるが、例年6月~8月に紫ウニ(白)は旬を迎えて、美味しいものが最も水揚げされる。今から6年程前にフランスから三ツ星シェフが日本を訪ねて来られ、津軽海峡で水揚げされた弊社のウニを食べて、シルクのような舌触りと濃厚な旨味に『世界一のウニ』と絶賛されていたことは鮮明な記憶として今でもよみがえってくる。
ウニは大変に柔らかく口溶けがよく美味しいものだが、溶けやすく形を保つのが難しい。その為箱詰めする時には、日持ちさせるためにミョウバン駅に浸けて形を崩れにくくする。ミョウバンには独特の苦みがあり、弊社のお客様のシェフ達からは「出来ればミョウバンのないものが欲しい」とのご要望を頂き続けた。そのお声から、ミョウバンを少なめにして詰めたオリジナル弁当箱や、ミョウバンなしの漁師パックも取り組んできた。ただ、溶けやすいという欠点は中々克服するのが難しく、お客様のお手元に届くまでの物流を含めて、味を取るか形をとるかの葛藤は今でも続いている。
そのような中で、数年前から産地で生み出された、綺麗な塩水に入れたまま流通させる『塩水ウニ』は、ウニ好きの方々にとっては、割高で、賞味期限が短い欠点はあるが、まるで産地で剝きたてを食べているかのような香りと味、更には形が崩れにくいといった点で優れた商品ではないかと思っている。
(株)グローバルフィッシュ 柿澤克樹